サッカーのレベルの違いはどこで生まれるのか。「鹿島」と「鹿島以降」に学んだもの
鹿島と違った経験を。そこで感じた違い
タイでニックネームとなった「Don't stop.」
サッカーにおいて、時計の針はハーフタイムにしか止まってくれません。その間、ボールは丸く、常に状況は移り変わっていきます。
ボールを保持している選手はパスの「出し手」ですが、パスを出した瞬間に「受け手」に変わります。すぐに頭の中を書き換えて、情報を更新していかなくてはならず、そこにタイムラグが生じていると的確な判断はできません。
このタイムラグに大きな違いがありました。
ちょうど、漫画がアニメになるのと似ています。
1つひとつにプレーがあり、判断があります。その1つひとつの"絵"を繋ぐ間の時間に、移り変わる状況の情報を常に更新し続け、タイムラグをなくし、連続するように頭を回し続けなくてはいけません。
レベルの高い選手は頭の中をアニメのように回し続けているのに対し、レベルの低い選手は漫画のように捉えてしまっているように見えます。
この違いは、僕が最も驚いた部分でした。それまでよりレベルの高いところでサッカーをした選手がよく「スピードが違う」という言葉を使うのは、きっとこの頭を回し続けるスピードのことだと思います。
タイでは言葉を話せなかったので、「Don't stop.」という言葉をニックネームになるほど、言い続けました。日本ではありがたいことに言葉を話せますので、試合におけるあらゆる状況で細かく指摘し続けるようにしています。
10年という時を過ごした鹿島では、僕の人生で最も輝いた時期を過ごすことができました。そして、それからの時間では、僕なんかのことを本当に必要としてくれる人たちのために身を削るように戦わせていただきました。
だから、全てのクラブが僕の心のクラブとなりました。
僕はそのことの感謝を形にしていかなくてはいけません。
「感謝を形にする」とは、僕が経験させていただいた様々なことを"自分なりの解釈"に落とし込み、そして具体的に生かしていくことだろうと思っています。